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ゲーム諸々雑多

セレステマウンテン / Celeste レビュー

PC,NintendoSwitch,PlayStation4,XboxOne向けに配信されている、カナダのゲームスタジオMatt Makes Gamesによるアクションゲーム、Celesteの宣伝です。


まず大前提として言えるのは、このゲームは非常に難しいです。
空中ダッシュや壁つかまりを駆使してステージを進んでいき、セレステマウンテンの頂上を目指すアクションゲームであり、落下、或いは触れてはいけない棘などに触れた場合は一撃死、すぐにその区切りの振り出しに戻る、というサイクルを繰り返すことになります。
残機の概念があるわけではないので、同じ場所で100回死のうが継続できるわけですが、難しい局面においては"同じ場所で100回死ぬ"が冗談にならないケースもあったりするような、そういうゲームです。

しかし、その高難易度が、プレイヤーと主人公のMadelineをシンクロさせる要因となります。

Celesteの主人公であるMadelineは、精神的な障害を色々と抱えており、人との関わりも苦手であったりと、何かと難のある主人公です。
その主人公が、投げ出さずにセレステマウンテンを登ることを決意し、その過程で色々な人(或いは自分自身)と邂逅し、向き合い、そして頂上を目指します。
↑中盤に登場するMr.Oshiroというキャラクター。日本語版では大城という翻訳が当てられている。

結局のところ、彼女は現代における、いわゆる"コミュ障"に属する人間であり、途中で出会った人とうまく関われないこともしばしば。写真でうまく笑えない、なんてこともあったりしながら、物語は進んでいきます。


↑公式にInstagramアカウントも存在する陽気なキャラクターのセオ。序盤に現れ、主人公と一緒に自撮りを提案する。主人公は最初、うまく笑うことができなかったが……


出会うのは人々だけではない。Madelineはセレステマウンテンの不思議な力により、己の心の闇とも直面する。
自らと瓜二つの見た目をしたBadelineと呼ばれるキャラクターは、「あなたにセレステマウンテンを登り切ることは出来ない、諦めなさい」と囁き、心の弱さを攻撃してくる。

↑結果的に"寄り道"をすることになったMadelineに対して、Badelineが放った言葉

上記で取り上げた以外にも様々、セレステマウンテンを登るということは、ゲーム的にも、そして、物語的にもとても苦しいものです。
しかしながら、一度進んだ進捗が巻き戻る、ということもなく、乗り越えた事実はきっちりと残り、実った努力は裏切りません。

近年流行りの"死にゲー"の根底にある、「クリアまでのハードルが高く、失敗を繰り返すが、その失敗の積み重ねにより、更にクリアに喜びが増す」というゲームデザインは、失敗についての理不尽さを感じさせない等、緻密な調整の上に成り立つゲームですが、戦闘こそないものの、Celesteにも同じ理論が通じます。
また、Celesteの基本的な構造に乱数が影響する部分は少なく、ルートなどを定めて解き方を考えること、そして、そのルート通りの移動を完遂すること、この構成により、単なる操作技術以外も求められることで、面やチャプター、ひいてはゲームのクリアの達成感を確かなものにしています。

一部チャプターでは謎解き的な側面もあり、悪く言えばテンポが悪いシーンもあるのは事実ですが、全体的に「ただ登るだけ」ではなく、様々なギミックの登場により、全チャプター通して飽きさせない構成になっています。

そして、ゲーム性の側面でなく、美麗なドット絵グラフィック、そして懐かしい雰囲気のあるBGM、どれをとっても素晴らしいゲームです。

何度もミスを重ねて、心が折れそうにもなるけれど、プレイヤーにとっての辛い局面は同時にMadelineにとっても辛い局面です。そういった部分が精神的にシンクロし、諦めないMadelineとともにプレイヤーも挑み続ける、そういう形が出来上がる、頑張れる高難易度ゲーム。
それがCelesteなのです。


Celesteは各種プラットフォームにてDL販売中。
PC(Steam) / PS4 → 日本向けの販売はない模様 / Switch

おまけ
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