セレステマウンテン / Celeste レビュー レビュー関連 2019年04月07日 PC,NintendoSwitch,PlayStation4,XboxOne向けに配信されている、カナダのゲームスタジオMatt Makes Gamesによるアクションゲーム、Celesteの宣伝です。 まず大前提として言えるのは、このゲームは非常に難しいです。 空中ダッシュや壁つかまりを駆使してステージを進んでいき、セレステマウンテンの頂上を目指すアクションゲームであり、落下、或いは触れてはいけない棘などに触れた場合は一撃死、すぐにその区切りの振り出しに戻る、というサイクルを繰り返すことになります。 残機の概念があるわけではないので、同じ場所で100回死のうが継続できるわけですが、難しい局面においては"同じ場所で100回死ぬ"が冗談にならないケースもあったりするような、そういうゲームです。 しかし、その高難易度が、プレイヤーと主人公のMadelineをシンクロさせる要因となります。 Celesteの主人公であるMadelineは、精神的な障害を色々と抱えており、人との関わりも苦手であったりと、何かと難のある主人公です。 その主人公が、投げ出さずにセレステマウンテンを登ることを決意し、その過程で色々な人(或いは自分自身)と邂逅し、向き合い、そして頂上を目指します。 ↑中盤に登場するMr.Oshiroというキャラクター。日本語版では大城という翻訳が当てられている。 結局のところ、彼女は現代における、いわゆる"コミュ障"に属する人間であり、途中で出会った人とうまく関われないこともしばしば。写真でうまく笑えない、なんてこともあったりしながら、物語は進んでいきます。 ↑公式にInstagramアカウントも存在する陽気なキャラクターのセオ。序盤に現れ、主人公と一緒に自撮りを提案する。主人公は最初、うまく笑うことができなかったが…… 出会うのは人々だけではない。Madelineはセレステマウンテンの不思議な力により、己の心の闇とも直面する。 自らと瓜二つの見た目をしたBadelineと呼ばれるキャラクターは、「あなたにセレステマウンテンを登り切ることは出来ない、諦めなさい」と囁き、心の弱さを攻撃してくる。 ↑結果的に"寄り道"をすることになったMadelineに対して、Badelineが放った言葉 上記で取り上げた以外にも様々、セレステマウンテンを登るということは、ゲーム的にも、そして、物語的にもとても苦しいものです。 しかしながら、一度進んだ進捗が巻き戻る、ということもなく、乗り越えた事実はきっちりと残り、実った努力は裏切りません。 近年流行りの"死にゲー"の根底にある、「クリアまでのハードルが高く、失敗を繰り返すが、その失敗の積み重ねにより、更にクリアに喜びが増す」というゲームデザインは、失敗についての理不尽さを感じさせない等、緻密な調整の上に成り立つゲームですが、戦闘こそないものの、Celesteにも同じ理論が通じます。 また、Celesteの基本的な構造に乱数が影響する部分は少なく、ルートなどを定めて解き方を考えること、そして、そのルート通りの移動を完遂すること、この構成により、単なる操作技術以外も求められることで、面やチャプター、ひいてはゲームのクリアの達成感を確かなものにしています。 一部チャプターでは謎解き的な側面もあり、悪く言えばテンポが悪いシーンもあるのは事実ですが、全体的に「ただ登るだけ」ではなく、様々なギミックの登場により、全チャプター通して飽きさせない構成になっています。 そして、ゲーム性の側面でなく、美麗なドット絵グラフィック、そして懐かしい雰囲気のあるBGM、どれをとっても素晴らしいゲームです。 何度もミスを重ねて、心が折れそうにもなるけれど、プレイヤーにとっての辛い局面は同時にMadelineにとっても辛い局面です。そういった部分が精神的にシンクロし、諦めないMadelineとともにプレイヤーも挑み続ける、そういう形が出来上がる、頑張れる高難易度ゲーム。 それがCelesteなのです。 Celesteは各種プラットフォームにてDL販売中。 PC(Steam) / PS4 → 日本向けの販売はない模様 / Switch おまけ PR